A)鍼

古代からよく知られている施術の一つに「鍼」があり、自律神経の調整作用や疼痛の鎮痛作用、体質改善や消炎作用は鍼の最も得意とする所作です。

「鍼」というと、どうしても刺されるのが怖いといった具合の意見が飛び交うことも多いのですが、本来「鍼」は「気」の操作、即ち「気/血/水(津液)」の疎通を改善させる道具であり、刺すばかりが鍼の能書きではありません。

鍼に対するイメージとして「痛み」はつきものですが、縫い針や画鋲、注射針等のような太い鍼で行うのではなく、毛髪よりも細い鍼で施術します。

 

<メモ>鍼響

当院の鍼施術で鍼響(しんきょう)を出す場合は、深部の筋緊張を緩和する目的です。通常は皮膚から5mm程度、臀部では10mm程度(※筋発達が著しい場合は20mm以上の場合も有り)の刺鍼で10分前後置鍼しますが、鍼響を希望される場合は、雀啄で響きを出していきます。筋硬結の部位で鈍痛が来ますので、その響きを確認しながら雀啄のスピードを上げて緊張部位を弛緩させていきます。

 

経穴は皮膚上で電気抵抗が減じているような部位であり、何らかの刺激でも少しの刺激量で感じる為、鍼灸ではその反応を逆手にとって気の疎通を促していきます。

よく鍼灸で「即効性の高いのはどちら?」という質問が挙がるのですが、手法の違いだけで、基本的な考えは一緒です。

 

他、鍼灸で本治と標治といった具合の言葉も聞かれますが、前者は12経絡(手太陰肺経・手陽明大腸経・脚陽明胃経・脚太陰脾経・手少陰心経・手太陽小腸経・脚太陽膀胱経・脚少陰腎経・手厥陰心包経・手少陽三焦経・脚少陽胆経・脚厥陰肝経)+「2奇経(督脈・任脈)」+「奇穴」の気の疎通を改善していくことで自然治癒力の向上化に結び付けられ、後者は疼痛に直接働きかけるが如く、体表から判断できる「虚実」の状態に比して「補法/瀉法」を行っていき調整を図ることで病態の緩和に結び付けられます。

 

即ち、どちらか一方だけ行えば病態からの脱却が計れるかと言えばそうでもなく、組み合わせる事で「未病」と呼ばれる状態からの脱却に結び付けられます。

元来、心身は即効性の有る処置に対して寛容ではなく、時間を要してでも緩やかにアプローチしていくことに慣れる筐体であり、如何に原状回復させる事の困難さは時間や環境要因に比例しています。

 

 

よく、スポーツ鍼灸等で「トリガーポイント刺鍼」を行っている事も多々有りますが、経穴に刺鍼するという施術の代わりに痛みを発症している運動器に直接刺鍼する事で消炎作用を促進させていくという施術となります。 当院ではそれらの施術を組み合わせて、痛みの緩和だけでなく、心身に纏わる様々な不安感を除去していきます。

 

尚、刺鍼施術は無痛及び無出血を保証できません。

皮下静脈は避けて刺鍼しますが、どうしても目視不可な毛細管を避けて刺鍼することは不可能ですので、内出血を引き起こす可能性は有ります。

 

重要)血流改善薬を服用されている場合は予めお申し出ください。

刺鍼により内出血が起きる可能性が通常に比して高まります。

B)鍼の取り扱いについて

鍼は使い捨てのものを使用します。

衛生及び安全上の理由によります。